Ingressのこと

 はい。記事書かせてもらえないし、お金にならないんだったら自分で自分とこに書くしかないつうことで、もういっちょ。Ingress面白いですよね、というだけの内容ですが。こういうのも書きますので、お仕事ください。きっちりギャラはいただきますが(しつこい)。

 実はIngressは結構前にインストールはしてたんですが、イマイチやることがなくって放置してたんです。というのも、ここは敵陣ど真ん中。やってる人にはわかりますが、敵陣でしかもレベルが高いとことなると、攻撃したところでそんなもん通りやしません。せいぜい毎日近所をチビチビhackしてまわるくらいで、そりゃあレベルは上がりませんし、出かけた時に他所でちょっとhackしてーの、どっかをrechargeしてーの程度で過ごす日々でした。
 ところがある日、気付いてみると自宅の近所の情勢が変わってたのです。それからというもの、楽しいIngress散歩が・・・

 あ、そうそう。ゲームシステムについてはここでは説明しません。他みればわかりますからね。 

そもそも何がすごいのか?

 Ingressの何がすごいのか?ゲームそのものは単なる陣取りや玉転がしをやってるだけです。ただし世界を二分するという争いで。じゃあいったい、それの何がすごいのかつうと『人を歩かせる』ということに成功したという点ではないでしょうか。
 大体、ゲーム「なんか」やっていると不健康だの外出ろだの言われるわけです。やってる方はやってる方で「単なる暇潰しですよ」とかなんとか言い訳しちゃうので、なんとな~くの悪いイメージが付いてしまいます。

 ところが、Ingressのすごいところは

 ・健康のためにやってます!
 ・運動してます!
 ・ダイエットです! 

という言い訳けが立つところです。だって奥さん健康ですよ健康。 健康のためなら死んでもいいという人がいる昨今、『このゲームをやれば歩くので健康になれます』という言い分は物凄く強いです。
 ちなみに私は、ちっとは歩いて(軽い)運動をしたほうが良いお歳&環境ですので、こりゃもうウォーキングのネタに最適なわけです。

 ただし、プレイしてみて思うのは『これは都市部のゲーム』じゃないかということ。もちろん地方には別な遊び方があるんですが、 歩いてポータルからポータルにリーチできないとなゲームですね。

歩かせる仕組みがうまい

 まず第一にPortalの選定がうまいです。これは『審査』が入るので、当然なのですが、比較的うまく選択が行われているようです。もちろん「なんでこれが?」なものもあるのですが、Portalが結構面白いんです。自分の地元のPortalでも『え?ここにこんなものがあるのか』と発見させられます。旧街道沿いなんかは、いろんな地蔵やら庚申塚みたいなもんが、あちこちにあります。言い方を変えると、そういうのが一定距離で並んでいたりすると、「ああここは旧街道だったんだな」と気付くこともあります。
 次にPortalの"挙動"の設定がうまく考えられています。あるPortalからアイテムを得るhackは、一回hackすると次まで5分は時間を開けないとできません。5分後に再hackしても、これは4回までしか繰り返せず、その後は長時間またないと再度hackできないので、その場所に長時間留まっても意味がないようになっています。そりゃまあ、屋外でず~~っと立ち止まる人はいないでしょうが、例えばPortal近くのレストランや喫茶店からhackできるような距離に居たとしても、アイテムをたくさん取得できないようになってるわけで、居座る「キャンパー」が出ないようになっています。もちろん、一カ所の喫茶店などから3Portalにリーチできるような場所ならば結構稼げてしまうのですが、そんな場所は・・・都内には結構あります。
 そしてPortalからのリンクも「ここ」から張れる(out-link)のは最大8本までになっているので、一カ所に居座っても何のメリットもないように設定されているのがうまいところです。
 最後は都市部特有の話になってしまいますが、Portal間の距離が200~300m程度のものが多いことです。もちろん過密な場所ではもっと接近していますが、接近してるところで動き回っても取得できる範囲が狭いので、あまり面白くないわけです(ただし練習とAP稼ぎにはすごくなります)。なので、次のPortalへと移動しようとすると、200~300mとかってのが適度な距離で『なんだ200m先なら行ってみよう』となるため、歩くことに対するモチベーションが保てるというわけです。
 これはスキャナから『見える』範囲が200~300m程度のようなので、どうもGoogleの意図としても200m間隔位にはPortalを生やしたいのかもしれません。
 とはいえ今のところは、都市部でも1km近くPortalが全くない空白地帯はもちろんあります。正直、そういうゾーンだとあまり行きたくないです(笑)。

SF好きにはたまらん背景

  いやまあ「中二全開」とか言われてますけども、単なる「陣取り」をSF仕立てにしちゃった発想が面白いです。だいたい、インストールして起動すると『あなたはゲームをインストールしたと思っているかもしれませんが、そうではありません』で始まりますからね。

そもそもPortalってのは
・謎のエネルギーXM(exiotic matter)が湧いている場所で
・これを、どちらかの陣営が乗っ取って制御下に置く(Resoneterを設置する)
というのが基本で、これが『点』を抑えさせるための理由付け
じゃあ、どうやって面を取らせるかというと
・Portal間を線で結んで(Link)、三角形を作ると
・その面積に含まれるMU(Mind Unit = 人口)が制御下に置かれる
だから面をどんどん取っていって、自勢力下に置きましょう、ということです。

 そして"あなた"は、そのどちらかの勢力に属する秘密のエージェントで『みんなは気付いていないけども世界を左右する2勢力の戦いに参加している』という設定なわけです。
 つまり自分の支配下に置いたMU(=人々)を救うべく戦っているというおはなし。 
 さらに新規Portalの申請も『エネルギーが湧いている場所を発見したからエージェントとして報告する』という理由付けがなされていたりで、ほんと、上手い設定です。

 ただし、まだ明らかになっていないストーリー部分は何かとあるようですが、詳しくは(日本語版も出ている)コミック Ingress 1, 2, & 3 を見るか、Ingress: The Niantic Project Files, Volume 1 (アフィリリンクです)を読むと良いかもしれません。 
 

 そういやtwitterではEnlightened のリーダーはハゲのおっさんだが、Resitance のリーダーは美女ってなってたけど、青のリーダーってAIのADAじゃなかったかしらん?

ここからが面白い話

Intel Mapで見て取れる状況

 すでにエージェントのみなさんはIntel Mapを使っていると思いますが、これは眺めてるだけでもかなり面白い代物です。ただし、Portal数が多いとクソ重いので大変ですが。
 自分の家の近辺でも、どこでもかまわないのでしばらく眺めたり、各PortalのDeployしたエージェントを見てみると、ある程度の傾向が見てとれます。自分が気付いた点は
・電車で移動してくるエージェントは駅から半径200~300mの範囲程度でしか動かない
・街道沿いに移動しているエージェントは自転車移動ではないか?
・面で広範囲に移動するエージェントは自転車ないしは自動車などのモビリティを有するのではないか?
・山など少し高台になると徒歩のエージェントは避ける傾向があるのではないか?
といったことが見て取れるようになります。 
 さらに注意深く見ていると
・国道などの大きな幹線道路を「跨いで」来るエージェントが少ない(一部に限られる->徒歩以外の人)
・都市部でもPortalの密度が結構違う(往来が激しい場所か、エージェントの近所かどうか) 

 ここまでの傾向をみてみるとIngressがいかに『怖い』ゲームだかがわかります。だって、自宅から通勤経路からある程度トラッキングできてしまうわけですから。だからGoogleというかNianticはエージェントIDと他のSNSを絶対に結び付けるなと注意しているわけです。ただ、それほど恐れなくても都市部ではエージェントがわらわらいるので個々人を追いかけるのは、まあ難しいでしょう。ただ、誰かに『目をつけられる』と危険ですから、そこは慎重に。

場所がらによる傾向

 いやこりゃ日本独特かもしれませんが駅とか駅前の公園(駅から200m圏内とか)は守っても無駄です。リチャージするのもPower Cubeがもったいないんじゃないか。
 とはいえ駅は結構重要な拠点のひとつになりやすいのでリンクがやたらめったら集まったりするとこではあるのですが。
 この理由はもうおわかりですね。通勤途中とかで電車移動の人が、そこのPortalにちょっかいを出すからです。定期持ってる人だったら途中下車して駅近の公園まで行ったりするかもしれません。さらに強者になると電車の中からXMPをぶっぱなすそうですが。
 人の往来が激しいとこは勢力の入れ替わりも激しいのですが、実はこれがないとAPが稼ぎにくいという面もあります。自陣ど真ん中でリンクすら貼れないとなると、どうやってAP稼ぐんじゃ~、ってなります。敵陣ど真ん中もレベルが低いうちは辛いだけですが。
 ところで駅前とかで攻防戦をやってると、そこいら中のスマホをいじっている人が相手方エージェントじゃねーの?という疑心暗鬼に襲われます。スマホ歩きしている人がいると「む?」とか思うようになると、もうかなりヤラれていますね。
 これは元から狙った演出のようで、Ingressの公式トレーラーにもその描写があります。 確かに街中で、ず~っとスマホいじってる人って『何等かの作戦』に参加してそうですよね(笑)

さらに面白いのが戦闘の展開

 うちの地域での相手の出方を見ていると、ある程度の組織化がなされているようにみえます。どうも指揮官っぽいのが一人程度いて、指示を飛ばしているのではないかとみえる(あくまでも、みえる)動きをすることがあって、これが面白い。 
 ところが指示を出した(と思われる)ために、攻撃に他のエージェントが出ると守りが手薄になるというか、(何人いるかわからない)エージェントが移動してしまうために、逆に攻め込まれて後ろから大穴を開けられるという光景を何度か目にしています。その意味ではちょっと間抜けな指揮官っぽいのですが、攻撃箇所は結構、目ざとく見つけているようで多重CFや、HubになってるようなPortalは見逃さずに潰しにかかります。もっともこれは、Intel Mapを見れば誰でもわかることではありますが。

 と、相手方に"指揮官"的なエージェントがいると仮定してみたわけですが、実は「いない」かもしれません。個々のエージェントが個別の判断と意思で動いているのが統制されているかのように見えるだけかもしれません。もしそうだとすると、それはそれで面白い動きです。 

 ちなみに自分は野良エージェントなので今のところ組織的に動くことはないのですが、この自分の動きが相手方にはどう見えているのかも興味のあるところです。

 マクロ/ミクロなど見る範囲のセルによる違い

 またも都市部の話で申し訳けないっちゃないのですが、全世界的には青(Resistance)チームが優勢とされています。ところがこれは自分の住んでいる/行動する地域によって見え方がかなり違います。
 ではまず概ね東京23区を見てみましょう。はい、ど~ん。
 23ku-1.png

なにがなんだかわかりませんが目を細めてみるとなんとな~く青優勢な気もします。
じゃあもう少し狭い範囲を見ることにして、自分ち近辺を晒すのは危険ですから、新宿駅近辺はどうなってるかみてみましょう。

shinjuku-1.png

う~ん。結構な殴り合いですね。これで見るとと面積としては緑が優勢のような、そうでもないような・・・
というわけでさらにダイブ。靖国通り沿いの一角をみてみます。 
yasukunidori-1.png 
明らかに緑優勢です。
 これが面白いところで、基本となる徒歩移動の場合には『ライトな』プレイヤーならまあせいぜい、移動範囲を直径500m(だいたい5~10分)くらいとすると、その範囲内での勢力は、どっちかに偏っている可能性があるということです。 つまり見る範囲によって勢力の見え方はかなり変わってくることになります。
 また、小さいセル内では特定のエージェントが、いわばヒーロー的に立ち回っていることがあり、ある個人による版図の塗り替えが発生することがありますが、広範囲となると組織立ってやるか、あるいは徒歩以外の移動手段を持たないと大きな塗り替えはまずできません。特に都市部では自分が長距離のリンクを張りたいと思ってもリンク先のPortalがすでに焼かれてたり、途中に交差リンクが入っていたりということが頻繁に起こるため、ある特定の個人の力で広範囲を何とかするというのはまず難しいでしょう。その上で、各々のCFがなぜそういう形で構成されてきているのか?を考えると、とても面白いです。
 また、リンクの出し方も面白く、たとえば自陣のCFが破壊され相手方が攻め込んで来ようとする時に自陣Portal間 で交差リンクをわざと出して相手が長いリンクを張るのを阻止するエージェントもいます。相手の陣を切り離しておいて、それを自陣のCFに沈めてしまうというのも比較的よく使われる戦略のようです。
 Intel Mapを見る際に、その見る範囲によって勢力間の挙動はかなり異なります。東京都内は驚くほどダイナミックな動きをします。

壮大な社会実験の意味

 Ingressはゲームとしては単純なため中毒性が割と高いのは確かです。個人的な感想としてはゲームシステムとしての配分もかなり上手い方だと思います。
 一方、このIngressは社会実験だとも言われていますが、その理由は推察するにすでに上で書いたような傾向を見てとることじゃないかと思います。中には『人がどのような場所に興味を持っているのか』を収集して、Google Mapなどに反映させたいと予想する人もいるようですが、私はそれだけだとは思いません。
 上で書いたような『人がどんな行動を取るのか』を収集したいのではないかと考えています。だって、Intel Mapを見ているだけで、これだけのことがわかるのですから、数値化されたデータを処理したらどうなるかはちょっと恐ろしいものがあります。たとえばあるエージェントが日に歩く距離をどんどん伸ばしていって体力を付けていってる、なんてのも知ることができますよね。
 また、人間が組織立った行動をするか、あるいは、しないかによって、それらが集合化した場合にどのような動きになるかというのも重要なデータのひとつでしょう。
 Googleが何を収集して、何に使いたいのかは本当のところはわかりませんが、まさにADAのみぞ知る、かもしれません。

Ingressは破綻するのか

 エージェント(=ユーザ)の数が増えるにしたがって、Ingressは破綻するであろうという予想をする人もいます。この先起こるであろうことは、これまでのSNS等と同じではないかというのは簡単に予想がつきます。
 Ingressは実際の社会の中で行動するゲームである割にはルールはかなり緩く、ユーザの善意に任されている部分がかなり多くなっています。
 一般的にMMO RPGなどで起こることとしては、最初は緩かったゲームシステムがユーザの要望などを取り入れることでガチガチになり、最終的にはヌルいゲームになって崩壊というシナリオがあります。Ingressも同じ経過を辿るのでしょうか?
 ですがちょっと待ってください。実は私たちエージェントは緩いシステム以前に、社会システムという強いシステムに縛られています。当たり前の話なのですが、社会に出て行動するということは、その社会を律している法律や条例、マナーなどの制限を受けることで、それは「ゲームやってんだから」で許されることではありません。私たちエージェントは「あたりまえの行動」を取ることが大前提とされているわけですから、これが私たちの行動を縛る『強い』ゲームシステムのひとつであるということを意識していなくてはなりません。
 ただし、ゲーム内のルールに関しては今後、勝手にルールを作ろうとする連中が出てくることは予想されます。たとえば『置いたアイテムを拾うな』とか『デプロイ中に攻撃するな』みたいな俺様ルールです。これはtwitterでみられるフォロー外からのリプ禁止、みたいなもので、システムが許容しているのに俺は許容できない、ことをローカルルールとして押し付けようという行動です。こういうのには全くもって従う必要はありません。もし、そういうのに従わなかったからといって、相手が"物理攻撃"を仕掛けてきたならば、法という社会システムが守ってくれるのですから、迷わず110番通報しましょう。 
 Ingressはたぶん暫くは破綻しません。ほとんどの人が常識的にふるまっていますから。ただし、ちょっとでも問題が発生すると、マスコミのみなさんが「ゲームのために他人の土地へ無断立ち入り」だの「深夜徘徊」だのといったネタに食いついて騒ぐかもしれません。 『未成年がゲームのために深夜にうろうろしている』なんてのは、格好のネタかもしれませんが、それ以前に未成年が深夜に外出することが問題なのであって、そもそもゲームとは関係ない話だということをみんなが理解していればいいはずです。

 とまあ、つらつらと書いてみましたが、やってない人はぜひやってみてください。ハマります。始め方や注意点は検索すればたくさん出てきますので、探してみてください。今ではAndroidでもiPhoneでもできます。私から注意することがあるとすれば、めちゃくちゃ電池を食うということ位でしょうか。あ、あとは片耳ヘッドフォンをお勧めします。ADAの誘導音声を聞きながら移動するとモチベーションはめちゃくちゃあがります。

そして最後に

 諸君、ここは戦場だ!